あらすじ

16歳の少年・湊(みなと)は、世界に自分の居場所がないと感じている。幼なじみの「ハル」を病気で亡くしてから、時間は音のない川のようにただ流れ、学校にも家にも自分の形が残らない。 ある晩、干上がった川原に長い影を引きずりながら、一両の古い列車がすべり降りてくる。車体の側面には「時刻なき鉄道」、行先表示は「眠り町」。車掌は灯りを胸に下げた寡黙な人物で、「切符は祈りの数だけ」とだけ告げる。 湊は列車に乗りこみ、ハルにもう一度だけ「さよなら」を言うための旅に出る。列車は“過去の駅”や“未練の停留所”に停まり、乗客はそれぞれの影と向き合って降りていく。 湊は自分の価値を探しながら、ハルの最後の言葉、言えなかった謝罪、救えなかった誰か――それらと和解していく。やがて旅は「眠り町」へ向けて最終区間に入るが、湊は誰かを救いたいというささやかな衝動に気づく。 終点で眠りにつくか、川原へ戻って朝の世界を選ぶか。列車は答えを持たない。けれど、祈りは切符の裏面に、すでに書かれている。旅路で、湊は孤独の外へと一歩を踏み出す。

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小説を読もう2026/01/01
  • 現在の作品夜の川原に降りてくる列車