あらすじ
一年前、僕の初恋の人は、短い生涯を閉じた。
氷室幽香(ひむろ・ゆうか)。
彼女がいなくなってから、僕の世界は白黒の映画のように色を失い、時間は止まったままだった。
――けれどある日。
放課後の教室で、彼女は当然のような顔をして僕の斜め前の席に座っていた。
「悠真くん、また居眠りですか? だらしないですよ」
僕にしか見えない、僕にしか聞こえない。
幽霊として帰ってきた彼女は、死んでからの数ヶ月間、ずっと僕の隣で僕を『観測』していたという。
葬儀の夜に遺影に誓った恥ずかしい愛の告白も、
一人きりの部屋で震えながら彼女の名前を呼んだ夜も、
全部、全部――彼女には筒抜けだった。
物理距離ゼロ。プライバシー皆無。
意地悪で可愛い「透明なストーカー」との、秘密まみれの共同生活が始まる。
しかし、僕はまだ気づいていなかった。
幸せな非日常を闇の中から見つめる、冷たい視線の存在に。
「先輩……誰と話しているんですか?」
死者と生者。想いと現実。
これは、止まっていた時間をもう一度動かすための、やり直しの恋物語。