あらすじ

重力調整バイトは禁止されている。 それでも、宇宙工学を学ぶ学生たちのもとには、ときどき妙に条件のいい「夜間作業」の話が回ってくる。 観光用リングステーションで人工重力を微調整する──やることは数字を少し動かすだけ。 危険なはずの仕事は拍子抜けするほど地味で、冗談を言う余裕さえあった。 重力が0.98Gだろうと1.02Gだろうと、ほとんどの人は気づかない。そう、思っていた。 ところが作業が進むにつれ、床に落ちる物の動きや、歩く感覚が微妙におかしくなっていく。 数値では誤差としか言えない揺らぎが、少しずつ身体に触れ始める。 やがて、想定されていなかった事態が起こる。 けれどそれは、大事にはならない。少なくとも、表向きは。 朝になれば重力は元に戻り、観光客は何事もなかったように走り回る。 仕事は終わり、報告書は提出され、世界はいつもどおり続いていく。 ただ、重さの感覚だけが、どこか前と違っていた。

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小説を読もう2026/01/01
  • 現在の作品重力調整バイト ── 想定外は想定されていない