あらすじ
昼休みの教室。
高校二年の男子生徒、朝倉浩介(あさくら こうすけ)は、窓際の席で焼きそばパンをかじりながら、決められない未来に目を逸らしていた。
進路と部活。
昨日、顧問から向けられた問いは、いまだ胸の奥に残っている。
そんな彼の前の席の女子生徒、桜井蓮(さくらい れん)は、密かに浩介の変化に気付いていた。
踏み込みたい気持ちと、踏み込めない恐れ。その狭間で、慎重に言葉を選ぶ。
「無理しないでよね」
その一言は、優しさであり、猶予であり、そして逃げでもあった。
予鈴が鳴り、昼休みは終わる。
言えなかったこと、聞けなかったことだけが、静かに二人の中に残っていく。