あらすじ
聖アングレカム学院――そこは、選び抜かれた令嬢たちが集う、美しき百合の園。 中堅貴族の娘、瀬良結衣(せら ゆい)には、誰にも言えない秘密があった。それは、自分が前世で愛した百合ゲームの世界に転生した「観測者」であるということ。
結衣の生きがいは、高潔な悪役令嬢・クラウディアと、可憐なヒロイン・真白が織りなす「尊い」やり取りを、絶妙な距離感で後方腕組みしながら見守ること。「私は壁。私は空気。二人の愛が完成するまでの触媒にすぎない」 そう自分に言い聞かせ、影から祈りを捧げていたはずが――。
「貴女、さっきから何を不気味に頷いているの?」
完璧だったはずの隠密行動は、クラウディアの鋭すぎる(そして歪んだ)洞察力によって暴かれてしまう。 不審者として捕らえられた結衣を待っていたのは、断罪ではなく、二人の推しによる熾烈な「包囲網」だった。
理論派だが実は箱入りすぎて性知識がゼロに近いクラウディア。 清純派の皮を被り、実は底知れない知識と独占欲を隠し持つ真白。
二人の執着の矛先が自分に向いていることに気づいた時、結衣の「推し活」は「生存戦略」へと変貌する。 書き換えられたシナリオの先にあるのは、三人の幸福(トゥルーエンド)か、それとも逃げ場のない愛の深淵か。