あらすじ
その年は、やっと初雪が降った。
少しばかり季節の流れに遅れてしまった雪だった。
その初雪の明け方。
男の子は元気に産まれた。
新たな命の誕生である。
母は父に言った。
「この子の名前は『優』。優しいの『優』」
女の子の名前のようだ。
だが、そんな批判はなかった。
父親は『優』と名付けられた、その子の頭をなでた。
「あぁ。いい名前だ。お前は我が家の長男だ。誰にでも優しく、それでいて、見本になるお兄ちゃんになるんだぞ」
「…優。…かわいいわね」
2人は笑い合っていた。
雪はちらちらと降り続き、上ってきた朝日をいっぱいに受けていた。
その粉雪たちは、ダイヤのようにキラキラと輝いて、幻想的な風景を作り出していた。
「あらっ。綺麗な雪」
ちらちらと、きらきらと…。
優と名付けられたその男の子は小さく丸い目を開いて、その雪を見つめた。
そして、やわらかな笑顔を初めて見せてくれた。
本格的日常小説第一幕開始!