あらすじ
この雑記帳は、結論を急がない。
何かを断定するためでも、信仰を整理するためでもない。
神仏、民俗、祈り、怖さ、好ましさ。
人が「なぜそれを身近に置いてきたのか」を、
少し距離を取って眺めるための覚え書きである。
大元帥明王のような最凶の存在。
狐や龍、天部のような、近くて遠い神仏。
それらは体系的に語ろうとすると、
たいてい肝心な部分がこぼれ落ちる。
だからここでは、
学問にも、物語にも、信仰告白にも寄り切らない。
「雑記帳」という形で、考えの途中をそのまま置く。
尾陽という、中心から少し外れた場所から、
人と神のあいだに生まれた曖昧な知恵を拾い集める。
答えは出さない。
だが、無視もしない。
そんな記録である。