あらすじ

商店街の外れ、夕暮れから夜にかけてだけ開く小さな古書店――
宵待ち古書店。
そこには、「今の自分に必要な本が、必ず一冊だけ見つかる」という噂がある。
だが、その本は必ずしも読みたいものではなく、
むしろ目を背けてきた過去や、言えなかった想いを静かに突きつけてくる。
店主は、本の来歴を語らない。
なぜその本がここにあるのか、誰が置いていったのかも説明しない。
ただ「売れる本」と「売れない本」を、はっきりと区別する。
返されなかった貸本、絶版本に挟まれた手紙、
二度目に買う同じ一冊、決して売られない日記帳――
訪れる客は皆、本を通して、自分の人生の途中に触れることになる。
この店で起きる出来事は、奇跡でも救いでもない。
ただ、立ち止まった人が、もう一度歩き出すための静かな時間があるだけだ。
頁に残る温度を確かめるように、
人は今日も宵待ち古書店の扉を開ける。

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アルファポリス
アルファポリス2025/12/31
  • 現在の作品宵待ち古書店と、頁に残る温度