あらすじ
腥暦(セイレキ)1995年、日本。人間の血液を使った駆動システムおよび通信技術――総称《血式工学》によって繁栄したこの世界では、血を操ること是即ち人同士の《エニシ》を支配することにつながる。血の支配によって人を組織に縛りつけようと企む反社会的な集団や、血液インフラへのテロを企てる犯罪者は《血賊》と呼ばれる。
この国の玄関口・横浜中華街。感染症対策のために隈なく滅菌が施されたこの街は、ブラッディ・ネオンに照らされた血腥い様相に反してクリーンに保たれている。街の一角に軒を構える「合同会社ハレバレ」は、表向きには結婚相談所となっているが、実態としては縁を結ぶよりも“斬る”仕事の方が多い。
ハレバレの筆頭《縁斬師》琴坂紫李はある日、冴えない青年・二階堂から縁斬りの依頼を受ける。二階堂は元々出版社の報道部に所属するジャーナリストだったが、中華街を根城にする反社会的組織の潜入取材を行っている最中にその構成員から目をつけられ、血の支配を施されてしまったのだという。二階堂の手首には、禍々しい蜘蛛の紋章が刻み込まれていた……。