あらすじ
中京都市で起きた、奇妙なパンデミック。
人々は“キツネ化”し、耳と尾を持つ存在へと変わっていった。
混乱と不安が街を覆う中、
巫女服を着たキツネ耳の少女・ヤコは、
いつしか「呪いの元凶」として名指しされる。
だが彼女は――
そのパンデミックを、止めた側の存在だった。
拡散されるデマ。
暴動と差別。
責任を押し付け合う権力と、裁かれない者たち。
治らない選択をした者。
戻れない身体になった者。
それでも「一緒に生きる」と決めた人々。
これは、
正義が必ずしも裁きをもたらさない街で、
人と、人ならざる者のあいだに引かれた境界線を、
引き直そうとした――
ひとつの夏の記録である。