あらすじ
進級パーティの壇上で、悪役令嬢ユリシア・ノワールは王太子から一方的に婚約を破棄され、貴族社会から追放される。
それはあまりにも冷静で、あまりにも予定調和な「断罪」だった。
その場に居合わせた子爵家当主ユウト=エルバードは、胸に拭えない違和感を覚える。
なぜ誰も疑問を抱かないのか。
なぜ彼女は、何ひとつ弁明しないのか。
直後、ユウトの脳内に語りかける声――進行AI《REINA》。
ここが乙女ゲーム『花冠と黒薔薇』の第2作目であり、今まさに“ざまぁ系復讐ルート”が進行中だと告げられる。
前作で破滅した悪役令嬢ユリシアは、今作では「ざまぁを執行する側」として再登場していた。
だが、ユウトは知っている。
彼女は誰かを陥れて満たされるような人間ではなかった。
“正義”の名のもとに進む断罪。
群衆が喝采する復讐劇。
感情を演算するAIが示す「最適解」。
そのすべてに、ユウトは問いを投げかける。
――この「ざまぁ」は、本当に正しいのか?
やがて、物語は予定された筋書きから逸脱し始める。
ユリシアは復讐を望んでいない。
REINAは論理だけでは説明できない“揺らぎ”を見せ始める。
そしてユウト自身もまた、かつての「プレイヤー」ではいられなくなっていく。
これは、悪役令嬢を救う物語ではない。
復讐を否定する物語でもない。
「決められた筋書き」に抗い、正義と物語そのものを問い直す物語だ。
ざまぁの先に、赦しはあるのか。
AIと人は、共に物語を選び直せるのか。
――これは、
構造を書き換える者たちの物語。