あらすじ

泉鏡花の小説「縷紅新草」の現代語訳。 【あらすじ】 ある小春日和の午後、辻町糸七は、一昨年この世を去った従姉の娘、お米と連れ立ち、故郷の寺へその墓参りに来た。 手に提げた間抜けな昼提灯を、「持ちましょう」とお米が言うのを断ると、「ご自分の手で誰かさんのお墓へお供えなさりたいのでしょう」と藪から棒をくらう。 三十年前、生活に行き詰まった辻町が、自殺しようと城の堀の上を徘徊した際、そこにもう一人、寂しい姿の見えた、初路という若い娘のことを、お米は言ったのである。 もと千五百石の一人娘だった初路は、家が没落して親類へ引き取られ、はんかち工場で刺繍の賃仕事をしていたが、容姿の美しさと針仕事の腕を他の女工から嫉妬され、彼女が考案した、蜻蛉の二つ連なった刺繍の図案に当てつけた中傷を苦に、自ら命を断ったのだった。 あわれな姫君を偲び、その霊も慰めようと墓地へ来た二人の前に、四人の男が慌てふためいて姿を現し、先頭の寺爺が、「蜻蛉の幽霊が出た」と言う。 蜻蛉の幽霊なら怖くはない、とお米が先へ立ってまず母の墓へ、次いで初路の墓へ向かうと、そこには無残にも荒縄でがんじがらめに縛られた石塔が転がっていた。 【訳者略歴】 白水 銀雪(しろみ ぎんせつ) 慶應義塾大学大学院博士課程中退(専攻:数学) システムエンジニア・プロジェクトマネージャー・コンサルタントとして、宇宙分野を中心とする科学技術系システム開発に従事 現在、蓼科にて山暮らし

連載情報

ウェブ小説

配信言語
Booklive
Booklive2016/04/15
  • 現在の作品泉鏡花 現代語訳集9 縷紅新草