あらすじ
高校二年の春。
診察室で告げられたのは、「だいたい一年くらいを目安に」という現実だった。
数字に直されただけの“余命一年”。
遺書を書こうとして、俺はスマホの画面からその言葉を消す。
重い文章を残して、泣かせて、教室の空気まで暗くするつもりはない。
「だったらさ、クラスの恋バナまとめて本にすれば?」
そう提案してきたのは、何でもない顔でLINEを送ってくる幼馴染・七瀬。
その一言から生まれたのが、
教室の後ろに置かれた「匿名恋愛相談ポスト」だ。
失恋の傷を引きずる子。
言えないまま卒業を意識し始めた片想い。
“好き”と“楽”の間で足踏みしている関係。
余命一年の高校生・高坂悠斗は、
投函された恋の相談に、言葉を選びながら少しだけ手を貸していく。
相談の相棒は、相変わらず隣でツッコミを入れてくる幼馴染。
救われていくのは、ポストに手紙を落としていくクラスメイトたち。
そして最後に、そのポストに向き合うのは——
もしかしたら、彼女自身かもしれない。
これは、余命一年の高校生が、
遺書の代わりに「誰かの恋」を書き残していく一年間の物語。