あらすじ
物語は主人公である異相 和が、異世界へ転移してから十ヶ月経過した、真冬の洞窟の中から始まる。
この世界は剣や魔術で魔物と戦い、冒険者となってダンジョンなどを攻略する世界。
そんな絵物語の様な世界に対して、カズはなんの興味も、なんの感情も持っていなかった。
今から四ヶ月前、カズは全てを失った。
絶望のどん底にいた自身を救ってくれた最愛の女性を、カズは失ってしまったのだ。
最愛の女性を亡くしたカズにとって、唯一の救いは彼女の元へ行くことだけ……。
カズは死にたかった、死んで彼女の元に行きたかった。
ーーだが、カズは死ねなかった。
カズはこの世界でスキルや魔術を使えない、そういった体質を持ち。その弱さゆえに彼女を失ったというのに、全てを失い――全てを放棄した時、カズは自身に『甦り』という異能があることに気づいた。
死んでも甦るその力は、聞こえはいいかもしれないが。カズにとってその力は、彼女の元へいけないという呪いでしかなく、カズはその全てに絶望した……。
無気力という名の絶望に浸りながら二ヶ月ほど彷徨ったある日、カズは自身を探窟家と名乗る図体のでかい男と出会い。探窟家につきまとわれながら共に旅をして、洞窟の中で自身の身の上を話したことで、カズの異世界での物語が本当の意味で始まっていく。
カズには最愛の女性と共に誓った夢があった。
夢を叶えるためにカズは力を欲し。
絶対的な力を――全てを蹂躙することができる力をカズは求めた。
カズは冒険に興味はない。
残っているのは彼女と誓った夢だけ。
その夢を叶えるために、カズは無限にも等しいこの命を使い果たすとそう決意して洞窟の外へと歩き始めた。