あらすじ

ある日、世界は「雪」によって書き換えられた。 それは気象現象ではなく、時間・言葉・重力・自己と他者の境界までも支配する、新たな“秩序”だった。 雪は降り積もることで世界の法則となり、人々の記憶や言葉、存在の輪郭を白く覆い隠していく。 やがて人間は、雪に完全に適応した「新しい存在」と、なお温度や痛みを残す「人間の残滓」に分かれていった。 秩序に従う雪の存在と、融け去ろうとする残滓。 その衝突は世界を二つの動詞——降り積もると融け去る——に引き裂く。 しかし争いの果てに生まれたのは、どちらかの勝利ではなかった。 矛盾そのものを肯定する「第三の秩序」。 雪でも人間でもない、新しい世界のあり方だった。 語り手は次第に自己を失い、その第三の秩序の一部へと変質していく。 これは、世界が白く崩れ、再び組み上がるまでの記録である。

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