あらすじ
京都で一流のブレイクダンサーを目指す青年、航太朗。ある夜のサイファー中、気づけば彼は、千年前の都・平安京にタイムスリップしていた。
金髪にスウェット姿で五条の町に現れた航太朗は、
「きつねが化けているのか?!」
「雷神の祟りじゃ!」
と騒がれ、あわや捕縛寸前。
だが、追い詰められた彼が咄嗟に繰り出したブレイクダンスの大技、ウィンドミルが、すべてを変える。
「――浄土の遣いだ!」
「いや待て、風車のごとく回る仏では?」
「廻転往生菩薩……名付けてそう呼ぼう」
この世のものとは思えぬ踊りに神がかった力を見出され、やがて航太朗のもとには、病、日照り、貧困...救いを求める貴族や民の相談が次々と持ち込まれるようになる。
時にはウグイスの鳴き声を、時には風の音をビートに、現代の知恵と身体ひとつのダンスで人々の目を誤魔化しながら、なんとか元の時代へ帰る道を探す航太朗。
しかしその先で待っていたのは、
ーー「帝を信じるな」
信仰と権力が絡み合う、宮中に巣食う深い闇だった。
回ることで祈られた、ひとりのブレイクダンサーの平安異聞譚。