あらすじ
ねぇ、黒い巫女って知ってる?
目を合わせると異界へ連れてかれちゃうんだって
この噂、マジだから。
黒い巫女は、「もう何もかも投げ出したい」って願う人の前に現れるの。進路や人間関係に悩む学生が危険なんだって。
そもそも、巫女装束って普通白いよね? あれは穢れを祓い、清めるため。反対に黒い装束は、穢れや不要なものを異界へ引き受けるの。
巫女の姿は、鏡や窓ガラスだけじゃない。スマホの画面、学校のタブレット。ありとあらゆる反射物に映り込むんだって。
ちりんと鳴る鈴の音は、「あなたを連れて行く」という最終通告よ。
連れて行かれた先がどうなっているのかは、誰も知らないの。だって、一人も帰ってきた人がいないんだから。
この神隠しが恐ろしいのは、身体が行方不明になるわけじゃないことなの。周りの人に気づいてもらえないの。
目を合わせると、魂だけが剥がされるの。残った身体は、「普通の生活」のフリをする。神隠しに遭ったのに、その事実すら誰にも知られないの。
――ねぇ、今、隣にいるその人。本当に、その人だと思う?