あらすじ
森の小屋で暮らす少女フィアと母ルシフェラ。穏やかな日々の陰で、ルシフェラの左腕を覆う黒い痣は確実に広がり、彼女の命が尽きつつあった。十六歳の誕生日を迎える娘を前に、ルシフェラは覚悟する——自らの死と、すべての真実を伝える時を。
十六年前、王国魔法騎士だったルシフェラは、魔物の群れから村を守る戦いの最中、制御を誤った炎魔法で三人を死なせてしまう。その中には、赤子を抱いた若い母エレンがいた。エレンは最期に我が子を託し、ルシフェラはその赤子——フィアを育てる決意をする。罪の刻印として現れた黒痣は、十六年の余命を告げていた。
年月は流れ、ルシフェラは贖罪と愛情の狭間で少女を育て上げた。彼女は“母親として”幸せを感じながらも、過去を打ち明けられずにいた。十六歳の誕生日、偶然古い記録から出生の真実を知ったフィアは、激しい衝撃と裏切りに打ちのめされる。だが、村人たちの語る母への感謝、墓前に供えられた花を通じて、フィアは母の苦悩と深い愛情を悟る。
死期が迫り倒れたルシフェラに、フィアは涙ながらに「あなたは私の母親だ」と告げる。ルシフェラは娘に全ての想いを遺すため、古代の「継承花」の魔法を発動し、自らの記憶と命を一輪の青い花へと変えた。
ルシフェラの記憶を受け継いだフィアは、母の愛を胸に新たな魔法使いとして歩み出す。人を守り、愛を次へと継ぐその姿に、彼女の中で母は今も生き続けている。青い花のように、永遠に。