あらすじ
祈れば奇跡が起きる。
そう信じられてきた世界で、祈りは少しずつ力を失っていた。
祈りを信じない少女リーシェは、ある日「祈りの聖女」として選ばれてしまう。
信仰心も願いもない彼女を通してのみ、奇跡はかろうじて形を成した。
だがその正体は、
人々が本来差し出すはずだった“祈り”を、
一人に押し付ける歪な制度だった。
巡行を重ねるほど、聖女は削られていく。
感情を、記憶を、やがて存在そのものを。
――それでも、世界のために祈れと命じられる。
だがリーシェは、祈らなかった。
奇跡を拒み、
「誰かが消えることで成り立つ祈り」を否定する。
聖女が沈黙した世界で、
人々は初めて“自分の祈り”を取り戻し始める。
これは、
祈れない聖女が、
祈りと救済の意味を問い直す物語。