あらすじ
朗読を想定して書かれたSFファンタジー作品です。
ひとりの英雄と、彼を想い続けた存在の物語。
失恋をきっかけに、生きる気力を失っていた西島すみれ。
ある夜、自室でうたた寝をしていると、彼女は不思議な空間に迷い込む。
そこは「心の倉庫」と呼ばれる場所だった。
もっと生きたくても人生を終えてしまった人々の心が、集う場所。
案内人に導かれ、すみれは“心のいれもの”となることを選ぶ。
彼女が選んだのは、自称「優しくて一番カッコいい男」――早川優一の心だった。
すみれの身体に、すみれと優一、ふたつの心が共存する生活が始まる。
やがて彼女は知る。
優一が、失恋した自分をいつも励ましてくれるクラスメイト・海斗の兄であること。
そして、過酷な運命によって、突然人生を閉ざされた存在だったことを。
この物語は、派手な戦闘や勝利を描いていません。
別れのなかで交わされる言葉、残された者の想い、
静かに受け継がれていく感情を描いています。
英雄とは何か。
救われたのは、世界だったのか、それとも――。
セリフと「間」を大切にした構成で、声に乗せたとき、余韻が残る物語を目指しました。