あらすじ
風見ユウは、存在感が薄く、誰からも気づかれない少年だった。幼い頃に母を失い、最後に嗅いだその香りは、もう二度と再現できない。だがある日、偶然手にした香料が、他人の心に触れる力を持つことに気づく。
人の喜びも、悲しみも、怒りも――香りを通して感じ取れる。香りは単なる匂いではなく、記憶と感情を映す鏡であり、触れることで心を震わせる力を持つ。そんな力を前に、ユウの胸は熱くざわめき、微かな香りの余韻に意識も体も揺さぶられる。
天然で素直な白雪ミオ、理論派で情に弱い九条レイナ、尊大なライバル・鷹宮シオン。彼らとの出会いと対決を通じ、ユウは「香りで人生を映す」調香師として成長していく。
勝敗よりも重要なのは、相手の心に触れ、人生の証を理解すること。香りが呼び覚ます記憶と感情が、喜びも切なさも、胸をじんわりと熱くする――。
香りが暴き、壊し、癒す世界で、ユウは自らの心と才能に向き合う。香りの先に待つのは、誰も倒れない勝利か、それとも……。