あらすじ
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」
衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。
実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。
彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。
全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。
さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?
【登場人物紹介】
◆アナベル・リヒトハイム
公爵家の令嬢だが、生まれつき体に「銀の鱗」が浮かぶ奇病のため、家族からも使用人からも「呪われた子」として虐げられてきた。性格は内向的で自己肯定感が極端に低いが、芯は強く慈悲深い。王太子から婚約破棄され、辺境伯レオニールのもとへ送られる。
◆レオニール・ヴァルグレイブ
北の辺境を治める辺境伯であり、竜騎士団長。「氷の悪竜」の異名を持ち、冷酷無比な人物だと噂されている。代々受け継ぐ竜の呪いにより、身体が瘴気に蝕まれている。言葉数は少ないが、懐に入れた存在には深い愛情を注ぐ不器用な青年。
◆ラインハルト
王国の第一王子。華美なものを好み、見た目ばかりを気にする浅薄な性格。アナベルを醜いと蔑み、自分に都合の良い「聖女」セレスティアに夢中になる。
◆セレスティア
男爵令嬢。可憐な容姿を持つが、内面は強欲で計算高い。古代の魔道具を使って光を操り、「聖女」と偽ってラインハルトに取り入る。アナベルを見下し、彼女の不幸を嘲笑う。