あらすじ

主人公はどこにでもいる女子高生のナツミ。 日常の些細な変化を見つけることが、ナツミの特技だった。 ――だから、あの日もすぐに気づいた。 駅前の古い時計が、ほんの少しだけ、遅れていたことに。 いつもなら七時十二分を指しているはずの針が、七時十一分と半分くらいで止まっている。 秒針は動いていない。でも壊れている、という感じでもない。 まるで、時間だけが息を止めているみたいだった。 「……まあ、いっか」 ナツミはそう言って、歩き出す。いつも通り、パン屋に寄って、いつも通りのクロワッサンを買って、いつも通り改札を抜ける。 そのはずだった。 改札を通った瞬間、背中に、ふっと風が当たった。 冷たくもなく、温かくもなく、ただ「通り抜けた」という感触だけが残る風。 振り返っても、誰もいない。 「……?」 首をかしげたけれど、すぐに笑って、歩き出した。 変なことは、たまに起きる。それくらいで、世界は揺らがない。 ――このときは、まだ。

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カクヨム
カクヨム2025/12/25
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