あらすじ
安楽死が合法化された現代日本。
「死神」と蔑まれる終焉支援官の佐伯航は、ある日、末期がんを患う老人・嶋田源三から一通の依頼書を受け取る。
終焉支援官には、死を待つ者の「ラスト・ウィッシュ(最期の願い)」を一つだけ叶える義務がある。
源三が突きつけたその願いは、自身の病を隠し通し、親戚の青年として一ヶ月間同居しながら、孫娘・陽菜の結婚式で「元気な祖父」としてバージンロードを歩くことだった。
陽菜は、おじいちゃんは少し体調を崩しているだけだと信じて、無邪気に式の準備を進めていく。
日に日に衰えゆく身体に劇薬を打ち、死神の肩を借りて「理想の祖父」を演じ続ける源三。
そして、その二人の間で、職務として嘘を全うしようとする佐伯。
しかし、陽菜もまた、ある「秘密」を抱えていた――。
三人が抱える「優しい嘘」が交差したとき、バージンロードに奇跡のような光景が広がる。
一人の男の命の灯火が消える瞬間までを、冷徹な死神の視点から描いた、愛と尊厳の三週間。