あらすじ
深夜、スマートフォンの画面に浮かんだ『非通知』の文字。 応答した佐藤の耳に届いたのは、三年前に死んだはずの親友・井上の声だった。
猛烈なノイズの向こう側から聞こえる「懐かしさ」に導かれ、佐藤は地図にない集落――**赤津村(あかつむら)**へと足を踏み入れる。 そこは一見、何の変哲もない静かな田舎町だった。 しかし、村の入り口に佇む地蔵の顔が削り取られていたことに、彼は気づかなかった。
時を同じくして、失踪者を追う刑事・高城、そして消えた息子の行方を捜す母・美津子もまた、濃霧に閉ざされたこの村へと迷い込む。
彼らを待ち受けていたのは、常識が通用しない「剥離」の恐怖だった。 身分証の写真は別人へと変貌し、鏡に映る自分の顔からは目鼻立ちが消え失せ、家族の記憶さえもが何者かの手によって「修正」されていく。
この村は何かがおかしい。 住人たちの完璧すぎる笑顔の下には、一体何が隠されているのか? そして、村に伝わる「顔のない神」の正体とは――。
個人の存在意義(アイデンティティ)を削り取り、ただの「記録」へと変えてしまう村で、彼らは己の顔を保ったまま生還できるのか。
――あなたの「顔」は、本当にあなたのものでしょうか?