あらすじ
あらすじ
入社二年目の会社員・吉野は、仕事そのものよりも、
「考えろ」と言われ続ける空気の中で、言葉を失いがちになっていた。
ある夜、先輩の緒方に誘われ、
吉野は恋人の宇良とともに、会社から少し離れた居酒屋を訪れる。
緒方は、組織や構造、若手の在り方について語り続けるが、
その話は盛り上がることも、決着がつくこともない。
吉野は相槌を打ちながら、
自分が何に困っているのかを、うまく言葉にできずにいる。
宇良は会話に割り込まず、
ただ食べ、聞き、必要以上のことを言わない。
店内では、説明のつかない出来事がいくつか起こるが、
誰もそれを問題にはしない。
会話は進み、止まり、形を変えながら、
はっきりとした答えには辿り着かない。
やがて店を出た三人は、
それぞれの場所へ戻っていく。
吉野の手元には、なぜか一枚の伝票だけが残る。
これは、
正しさを語らないまま、
人が壊れずにやり過ごしていく時間を描いた、
静かな三部構成の会話劇である。