あらすじ
『……必要かどうかは分かりませんが、恋人でも愛人でも、どうぞお好きなように』
夫となる人は自分をじっと見つめてそう言った。
ロゼ・ハーネットはシェルベルクス国のハルメルン神殿に仕える聖女である。
雪、月、花を司る三聖女のうち、花を司る聖女であるロゼは幼い頃から神殿最高神官のアルフレッド・サン聖下の元で教育され、魔物から国と人々を守る三聖女の一人として勤めを果たしてきた。
しかし、アルフレッドが病に倒れてからは立場が一変する。
仕事を貰えなくなり、部屋に籠り切りになる日々が続き、あっと言う間に体質のせいで誰もが驚く肥満聖女になってしまう。
太く、醜い見た目のせいで『神殿の豚』と呼ばれ、益々人前に出れなくなり、肥満は加速する。
ある時、蔑まれ、馬鹿にされる日々に限界を感じていた頃、ロゼに縁談が舞い込む。
その相手は英雄と名高いアーキンス・ウォルセドナ。
英雄と名高いアーキンスだが、彼は呪いによって身体は人間、頭は山羊の異形の姿に変えられてしまった。
醜い家畜同士の婚姻だと囁かれるが、断る余地のないロゼは不本意ながらアーキンスに嫁ぐことになる。
嫁ぎ先の使用人達には嫌がらせをされ、苛立ちと孤独を感じながら卑屈になるロゼ。
しかし、そんな中でも意外にアーキンスは優しくて、彼の優しさに触れるうちに荒んでいた心が落ちついていく。
『罪』と意味する山羊に姿を変えられたアーキンスの呪いの正体、不本意な結婚をした二人の未来は―――?