あらすじ
人の感情が数値として見える世界では、
好意も信頼も、一目で分かる指標として扱われていた。
誰と距離を縮めるべきか、どこまで踏み込んでいいか――
人間関係は、数値を基準に判断されるのが当たり前だった。
そんな中で相川恒一は、ただ一人だけ、
どれだけ時間を過ごしても数値が変わらない相手と出会う。
朝霧しずく――彼女への好感度だけが、なぜか増えなかった。
けれど、彼女は気にしない。
数値が増えなくても態度は変わらず、
距離を詰めることも、離れることもなく、
いつも自然体でそこにいる。
周囲が数値を基準に関係を選ぶ中で、
相川は次第に、数字では測れない違和感と向き合っていく。
進んでいるのか、変わっていないのか――
それすら、はっきりとは分からないまま。
感情が可視化された世界で、
なぜか数値に現れなかった関係は、
どんな形で続いていくのか。
これは、答えを出さないまま積み重なっていく、
静かな関係の物語。