あらすじ
戦えない。
それだけの理由で、王都の魔術部局を追放された生活魔法使いの俺は、
「もう誰かの役に立たなくていい」と思い、地方の村で静かな生活を始めた。
洗う、保存する、水を整える。
ただ日々の作業を楽にするための生活魔法。
それを習慣通りに使っていただけなのに、
村の暮らしは少しずつ、確実に変わっていく。
俺自身は、その変化を特別なことだとは思っていない。
田舎では、これくらい普通だと思っていたからだ。
しかし、地方視察で訪れた第五王女だけが、その違和感に気付く。
誰も評価してこなかった「生活」の積み重ねが、
国全体に応用できる価値を持つことに――。
これは、選ばれた英雄の物語ではない。
価値は先にあり、気付かれたのは後だった。
追放された生活魔法使いが、
村の一日を回し続けた先で、国を静かに変えていく物語。