あらすじ

初めてできた彼氏のワタル君に、花火大会に誘われた。 クローゼットをひっくり返しても、出てくるのは母手製の時代遅れなワンピースばかり。 私は意地になって、売り場で一番大人っぽい黒いレースのドレスを買った。 けれど、試着室の鏡の前でふと思い出したのだ。 「この青い小花柄の生地はね、あなたが生まれた年に母さんが植えた、最初の紫陽花で染めたのよ」 大輪の花火が咲く中、彼が商店街で買ったお土産のりんご飴を渡してくれた。 私は無意識に、こう口走っていた。 「これより……私、家の『花椒(ホアジャオ)の芽のお焼き』が食べたいな」 一番ドラマチックな愛は、特別じゃないと思っていた日常の中に、とっくに隠されていたのだ。

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カクヨム
カクヨム2025/12/23
  • 現在の作品【随筆】青い紫陽花と花椒の芽 ~着飾った黒いレースと、忘れられない家の味~