あらすじ
誰にも壊されていない。
そう言い聞かせながら、白石澪は一人で暮らしている。
過去の恋愛で受けた傷は、はっきりとした形を持たないまま、
夜の物音や、人との距離として、日常に残っていた。
ある夜、玄関の鍵が回らなくなる。
管理会社の担当として現れた年上の男性・神谷は、
助けようとも、踏み込もうともせず、必要な距離を保ったまま澪の前に立つ。
優しさに救われることが、必ずしも正しいわけではない。
それでも、「侵されない」関係の中で、澪は少しずつ
自分の気持ちを取り戻していく。
これは、傷ついた心が恋によって癒える物語ではない。
誰かと同じ場所にいても、壊れなくなっていくまでの、静かな恋の話。