あらすじ
「魔法の一つも使えない無能な偽聖女め。我が国から出て行け!」
聖女として異世界に転生したセレスを待っていたのは、あまりにも残酷な現実だった。
鳴り物入りで執り行われた『聖女の儀』。しかし、セレスの魔力測定値は「ゼロ」。期待は一瞬で失望へと変わり、彼女は婚約者の王子から婚約破棄と国外追放を突きつけられてしまう。
捨てられた先は、一度入れば二度と生きては帰れないという魔物の巣窟『死の森』。
絶望の中、セレスは森の主である神獣フェンリルに襲われる。
――が、そこで彼女は「真実」に気づく。
魔法として外に出せなかった聖なるエネルギーは、すべて彼女の筋肉や骨、細胞を強化するために全投入されていたのだ。
「あ、あれ……? ちょっと押し返しただけなのに、狼さんが飛んでいった……?」
伝説の神獣を裏拳一発で山まで吹き飛ばしたセレス。
さらに、彼女にはもう一つの隠された権能があった。彼女が直接触れた魔物は、その魂が浄化され、人間の言葉を喋りだすのだ。
「アネキ! その拳の輝き、一生ついていくっす!」
最強の物理パワーと、魔物と意思疎通できる能力。
二つの能力に目覚めたセレスは、言葉を得た愉快な魔物たちと共に、未開の森の中に誰もが笑って暮らせる最強の『聖域』を築き始める。
一方、彼女を「無能」と笑って追い出した王国では、セレスという「物理的な防波堤」を失ったことで、取り返しのつかない崩壊が始まっていた……。