あらすじ
これは、清く正しいはずの“聖女”が、世界の矛盾に歪んだ優しさで世界を塗り替える物語。
かつて聖騎士として剣を振るい、平凡に日々を過ごしていた青年がいた。
だが、ある日、不幸ない災害に出会う。
彼は“それ”に敗れた。名を呼ぶことすら許されぬ、禍(まが)に染まった存在によって。
ソレは酷く歪んだ笑顔で、かつて救うために振るったその力を使って…虐殺を楽しんでいた。
世界の歪み、かつて聖女と呼ばれていたソレは禍姫(マガヒメ)と呼ばれている。
彼女らは、始まりの厄災、【反転の禍姫】によって魂を堕とされていた。
なんてことはない。彼は巻き込まれたのだ。平凡な青年、いや平凡な聖騎士ごときが敵うわけがないのだ。そう、彼はここで死んだ。いや、歪められた魂が投げ捨てられたと言った方が正しいのか…
この偶然が、世界に大きな影響を与える。
目覚めた彼は、何もかもが変わっていた。
――見知らぬ場所。見知らぬ身体。彼はもう“彼”ではなかった。
“少女”として再び生を受けていたのだ。
やがて彼女は、世界を救う「聖女」として神に選ばれる。教会で育ったこと、生前の記憶により大人びていたこと、それらが大きな要因だろう
与えられた契約神の名は【久縁の神(きゅうえんのかみ)】。
永き縁を司る、終焉と再生の象徴。
その神は本来、裁きを担う神であり、聖女の契約神としてはありえない存在だ。
通常、契約の条件を満たすのは清らかでまっすぐな魂だけ。まず選ばれるはずのない彼女が偶然にも選ばれる。
彼女にとってこの神との契約は「他に選ばれなかったから」の妥協でしかなかったが、それが後に世界を変える力になる。
「偽聖女」と自嘲しながらも、戦場で仲間を癒し、守り、時に戦わずして勝ちをもぎ取る。
かつての戦士の眼差しと、聖女の姿の奥に宿る異質な力。
その在り方は、あまりにも歪で、余りにも優しくて、あまりにも健気に見えただろう。
のちに彼女はこう呼ばれる。
歴代最強の聖女…と。
彼女の名は――セリアナ。
本来なら選ばれるはずのない、歪んだ魂を持つ“聖女”。
世界は今、繰り返される絶望の輪廻の中にある。
歴代の聖女たちは次々に“悪しき存在”に反転し、人類の敵となってきた。
その果てに待つのは、真なる禍。未だ語られぬ、かつて“最も清らかだった存在”が堕ちた果てに現れた、理不尽そのものの存在――
セリアナは知る由もない。
彼女の存在が、この歴史を終わらせる歯車となることを。
その“歪み”こそが、世界の均衡を変えてしまう可能性を秘めていることを。
未だかつてな挫折と絶望に泥塗れ、地を這う聖女が世界を変える。
これは、清浄でも破壊でもない。
ただひたすらに“いびつなやさしさ”で世界を塗り替える、異端の聖女の物語。