あらすじ
「いつか戻ってきたら、一緒に海に行こう」
それは、幼いころの約束。
病弱な女の子と、毎日お見舞いに来る男の子の口約束。
強制力などなにもないその約束は、しかし少年の心に深く刻まれた。
少女は治療のため、手術を受けるために海外へ向かう。
少年もまた、いつか来る約束を果たそうと心に決める。
そして、月日が経ち十年後。
あの日の少年――高宮睦月は高校生となる。だが、あれから彼女との約束はいまだ果たせていない。
そんな彼のクラスに転校してきた一人の女の子。
「一ノ瀬紗良です。よろしくお願いします」
自己紹介で彼女の名前を聞いた彼は、彼女が海外で治療を受けていたことを聞き、その子が当時約束した彼女であると気づく。
そこで睦月は、自分のことを覚えているか声をかけるが――。
「睦月君、悪いけど話しかけないでくれる?」
何と返ってきた言葉はまさかの拒絶。予想外の言葉に戸惑う睦月。結局、二人は会話もままならず、そのまま学校での一日が終わる。
「ただいま」
帰宅する紗良。靴を脱ぎ、そそくさと自分の部屋へと入り、ベッドへダイブする。
「あ~! なんであんなこと言っちゃったのよ! 私のバカ!」
声が漏れないように枕に顔を埋め、大声を出す紗良。
「……でも、睦月君。カッコよくなってる」
十年の間で素直になれなくなった紗良。
対して睦月は、紗良に嫌われていると思いながらもあの日の約束を果たそうと奮闘する。