あらすじ
――ん……あれ……。
「目が覚めましたか」
頭上から柔らかく抑揚のない声が降ってきた。誰だ? 聞き覚えがない……。
光を感じる。だが、まぶたが持ち上がらない。いや、それどころか身体がまったく動かない。金縛りに遭っているような、身体の輪郭が希薄になったような奇妙な感覚だ。いったいどうなっているんだ。何が起きた……いや、たしか……事故?
「そうです。あなたは事故に遭い、ずっと昏睡状態だったのです」
ああ、そうだ。あの夜、車に撥ねられて……。ずっと? ずっと昏睡状態のまま? いったいどれほど……今はいつなんだ……。