あらすじ

残業帰りの夜、主人公は街灯の少ない道を一人歩いていた。静寂の中、後ろから足音が聞こえる。振り返ると、暗闇の中に黒い影が立っていた。顔のないその影は、音もなく近づいてきて、すれ違いざまに冷たい空気を残して去っていく。翌日も、またその翌日も、影は現れ、主人公の横を通り過ぎていく。恐怖は日ごとに増し、足音は耳の奥に残り続ける。やがて影の顔がちらりと光に照らされるが、そこには何もなかった。ただの平面。眠れぬ夜、家の外にその影が立ち続け、ついには部屋の中に現れる。逃げ場のない恐怖が、闇の中で静かに満ちていった。  ――そして、もう一つの夜道。  同じように夜の十時過ぎ、帰宅途中の女性が後ろからの足音に怯えて振り返ると、そこにいたのはジョギング中の爽やかな男性だった。思わず「ストーカー!?」と叫んでしまうが、彼は軽く会釈して走り去る。イケメンとの偶然の出会いに胸をときめかせた彼女は、翌日も同じ道を通り、再会を期待する。何日も会えず落ち込むが、一週間後、再び彼とすれ違い、今度も何も言えず見送るだけ。友人に励まされ、少しずつ声を出す勇気を育てていく。それから何度もすれ違い、やがて男性のほうから「お疲れ様です」と声をかけてくれるようになる。彼女の中で小さな希望が芽生え、ついに自身から話しかけることに成功する。「毎日走ってるんですか?」――短いやり取りだが、確かな一歩だった。暗闇に潜む得体の知れないものと、同じ夜道で育まれる初々しい想い。恐怖と恋が背中合わせに存在する、不思議で静かな二重の夜の物語である。

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エブリスタ
エブリスタ2025/12/23
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