あらすじ

ベルリン。 夜になるとこの街は別の顔をみせる。 かつて情熱を注いだ人生を静かに見送り、知らぬ間に心を固くして生きてきた一人の日本人女性。 年齢を重ねた身体は、もう若さを誇示しない。 その代わりに、経験と沈黙をまとっている。 彼女が足を踏み入れたのはタンゴの世界だった。 言葉よりも先に、身体が応える踊り。 音楽と抱擁のあいだで、忘れていた感覚が少しずつ呼び覚まされていく。 そこで出会う寡黙なリーダー。 多くを語らず、視線と間合いだけで相手を導く男。 彼の沈黙は、ときに距離となり、ときに救いとなる。 踊るたびに、近づく心。 触れ合うほどに、明かされない想い。 これは、派手な恋ではない。 けれど、人生を揺るがすには十分すぎるほどの出会い。 豊かな黒髪のアラカンダンサーが、タンゴを通して自分自身を取り戻していく物語。 そして、言葉にならない恋が、静かに芽吹いていく物語。 魔都ベルリンの夜に漂う香気とともに、人生の後半でしか辿り着けない、再生と愛のかたちを描く。

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小説を読もう2025/12/23
  • 現在の作品魔都ベルリンは今宵もタンゴの香気に酔いしれる