あらすじ
かつて宇宙には「覇道神」と呼ばれる存在がいた。
世界を愛し、憎み、守り、壊し――
それぞれの渇望を理として掲げ、宇宙を支配した神々。
だが彼らは、ひとつの神座の前に敗れる。
そこに座すのは神ではない。
黄金の玉座も、絶対者も存在しない。
あるのはただ、
あらゆる事象を観測し、間違いを修正し続ける“理”
――《万物修正・不謬の揺籃》。
揺籃は語る。
「絶対に正しいものは存在しない。
故に、すべての間違いは修正されねばならない」
水銀の王は“未知への渇望”を。
黄金の王は“全力を愛する心”を。
黄昏の女神は“慈愛”を。
刹那は“守りたい日常”を。
そして第六天・波旬は“俺以外を否定する意志”を。
彼らの渇望そのものが、宇宙にとってのバグとして観測され、
感情も絶望も許されぬまま、論理によって解体されていく。
やがて現れるのは、
観測を断ち、価値を剥ぎ、因果を積ませず、
理解したうえで世界に何も求めない覇道神たち――
その頂点に立つ、構造解析の神《アガレス》。
これは、
神が敗れる物語ではない。
欲するという行為そのものが、終わる物語だ。
渇望の時代が終わったあと、
修正だけが残った宇宙で――
神という概念は、静かに削除される。