あらすじ

故郷を出て、風走り隊へ入隊した遠風。 そこで学んだのは、強さではなく、生き残るための判断だった。 走らず、無駄に距離を詰めず、 弓で敵を制し、近づかれた時だけ槍に切り替える。 速さを誇る隊の中で、遠風は常に一拍遅いように見えた。 だが実戦では、その判断だけが、なぜか残り続けた。 分隊行動の中で、遠風は次第に浮いていく。 連携は正しい。命令も正しい。 それでも、一人で動いた時にしか届かない場所があることを、 遠風は否応なく理解してしまう。 やがて遠風は、 偵察や攪乱といった単独行動を任される存在となる。 それは栄誉でも罰でもなく、 ただ「そういう役割」だった。 ある日、進軍する敵軍の情報がもたらされる。 その旗と編成は、遠風の記憶と一致していた。 かつて、故郷を焼いた軍だった。 怒りはある。恨みも消えていない。 だが遠風は、それを口にしない。 弓を整え、槍を確かめ、進む道を選ぶ。 走らない。 ただ、止められるかどうかを量る。 そうして遠風は、 まだ戦っていない戦場へ向かう。 この物語は、その軌跡を描く。

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小説を読もう2025/12/23
  • 現在の作品『遠風 Ⅲ ─戦場への軌跡』