あらすじ

大陸の覇者たる帝国『龍燕(りゅうえん)』。次期皇帝・鳳星(ほうせい)は、その冷酷な決断力と、龍の如き暴風を操る「鉄扇」の力で、敵対する国々を次々と灰に沈めてきた。 ​ ある夜、鳳星は後宮の片隅で、不思議な調べを耳にする。音の主は、東方の島国から連れてこられた下女・月夜(かぐや)。彼女はいつもぼんやりと空を眺め、叱られても「お団子が丸いので世界は平和です」などと返す、捉えどころのない不思議系女子だった。 ​ しかし、その夜の静寂を切り裂いたのは、月光のように鋭利な殺意だった。  鳳星の寝所に忍び込んだ刺客。その手には、昼間に月夜が吹いていた竹笛があった。その笛は、奏でる旋律を不可視の刃に変え、聴く者の精神を内側から破壊する「毒」を秘めた武器だったのだ。 ​ 「昨夜の小鳥は、お前だったのではないか?」  「小鳥さんですか? 焼き鳥にしたら美味しそうですねぇ」 ​ 翌朝、確信を持って問い詰める鳳星を、月夜はいつもの天然ボケで煙に巻く。  彼女の正体は、鳳星の手によって滅ぼされた故郷の仇を討つべく送り込まれた、冷静沈着なスパイ。しかし、冷徹な独裁者であるはずの鳳星が見せる一瞬の孤独、そして彼が背負う帝国の闇に触れるうち、月夜の心は復讐と恋心の間で激しく揺れ動き始める。 ​ 一方、鳳星もまた、誰も信じられぬ孤独な日々の中で、自分を殺しに来るはずの彼女がもたらす「毒ある調べ」に、皮肉な安らぎを感じるようになっていく――。 ​ 交わるはずのない扇と笛。二人の奏でる合奏が、帝国全土を揺るがす巨大な陰謀へと繋がっていく。

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エブリスタ
エブリスタ2025/12/22
  • 現在の作品​『復讐は甘い蜜、恋は毒ある調べ』