あらすじ
この国の人々は、異端の女を火に焚(く)べることを好む。
祭りの後、処刑台の灰の中には、必ず黒くて硬い塊が残される。
どんな業火でも燃え尽きない、女たちの心臓だ。
人々はそれを忌み嫌い、「不燃ごみ」として谷底へ捨てる。
私はそれを拾い、回転砥石で削り、磨き上げる。
黒い殻の下から現れるのは、血のように赤い結晶か、あるいは涙のように青い結晶か。
それを「異国の宝石」と偽って市場に出せば、貴婦人たちが喜んで買い求めていく。
これは、滑稽で美しい循環(エコシステム)の話だ。
ある冬の朝。私は、言葉を持たなかった少女の心臓を拾う。
削り出したその中身は、今まで見たことのない色をしていた。