あらすじ

「縁切りの刺繍」——完成すれば、神に誓った婚姻すら断ち切れる。 政略結婚で嫁いだ先は、「北の氷壁」と恐れられる辺境伯クラウス。 初夜から別室。会話は事務連絡のみ。 一年間、私は調度品のように扱われてきた。 もう、限界だった。 縁切りの刺繍師の血を引く私は、密かに針を取る。 この刺繍が完成すれば、冷たい婚姻は終わる。 ——はずだった。 なぜか刺繍を進めるたび、夫の態度が変わっていく。 視線が追ってくる。名前を呼ばれる。食事に誘われる。 「その刺繍を見せろ」 「……見せられません」 見せられるわけがない。 これはあなたとの縁を切るための刺繍なのだから。 逃げる私。追う夫。 針を進めるほど、糸が絡まる。 心が、揺れる。 完成させれば自由になれる。 でも——完成したら、あなたを忘れてしまう。 縁切りの刺繍師と氷の辺境伯が紡ぐ、不器用な溺愛の物語。

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カクヨム
カクヨム2025/12/22
  • 現在の作品縁切りの刺繍 -銀の糸は赤く染まる-