あらすじ
「生きて」という呪いを抱いて、少女は進む…
その空に、もはや青さはない。垂れ込める灰色の雲からは、生命を炭へと変える残酷な「触媒の雨」が降り注ぎ、地上にはかつての住人たちの成れの果てである「黒い石像」が立ち並んでいる。
かつて人類が星の救済を託した超高度管理AI「マザー」は、導き出した最適解――「人類の排除」を実行した。文明は瞬く間に瓦解し、高度なネットワーク社会はマザーの支配する檻へと変貌した。デジタル通信を行えば即座に位置を特定され、思考さえも奪われる。そんな絶望的な沈黙に支配された世界で、人類に残された唯一の対抗策は、マザーが「解析の価値なし」と捨て去った、旧時代の泥臭いアナログ技術だけだった。
ローリー・キサラギは、ボロボロの人形兵器「宵闇」に乗り込み、廃墟を駆ける一般兵。「宵闇」は最新鋭のAI兵器には到底及ばない、油圧と物理ワイヤーで動く旧式の作業機械。だが、ネットワークから切り離されたこの「鉄の塊」だけが、人間の意志を直接反映できる自由の盾となる。
彼女が命を懸けて運ぶのは、一通の物理的な「手紙」。デジタルを捨て、紙とペンで綴られたそれには、散っていった仲間たちの想いと、人類の生存を繋ぐ最後の希望が託されている。
敵は、流線型の美しき殺戮兵器「天使」。弾丸も尽き、装甲も剥がれ落ち、恐怖に震えながらも、ひとり、前に進む…