あらすじ
鷹宮龍平(リュウヘイ)四十六歳。
相棒の桐生七海(ナナミ)三十二歳。
コンビを組んで十数年、二人は同じ街で、同じように金を奪い、同じように夜へ消えてきた。
約束事は少ない。
互いの過去を聞かないこと、そして――捕まらないこと。
「これで終わりにしよう」
龍平がそう口にしたのは、何度目かの最後だった。
狙いは小さな地方銀行の現金。派手さはない。
だが、なぜか胸騒ぎだけが残った。
銃声は想定外だった。
逃走は始まった瞬間から、どこか狂っていたのだ。
警察の動きは異常に早く、しかも静かだ。
無線もサイレンもない追跡。
まるで、最初から二人の居場所を知っていたかのように。
自分たちは、最初から「消される側」に立たされていたのだ、と。
街は何も語らない。
裏切った者も、追ってくる者も、理由を説明しない。
ただ暴力だけが、確かな現実として残る。
七海は走り続ける。
龍平は、どこで立ち止まるかを考え始める。
明日を持たない犯罪者たちが選ぶのは、勝利でも救済でもない。
それは、どう終わるかという、ただ一つの選択だった。
これは、逃げ続けてきた悪者たちが、
最後に自分の影と向き合う物語である。