あらすじ
世界には、神と悪魔がいる。
神は正しく、悪魔は間違っている――はずだった。
最下級悪魔のルシアは、力も野心もない、ただ少しだけ優しすぎる存在だった。
困っている人間を見ると放っておけず、小さな嘘をついては助けてしまう。
それは悪魔にとって禁忌の行為であり、確実に身を削る選択だった。
けれどある日、ルシアは気づいてしまう。
自分に向けられた、名もなき人々の祈りに。
神々が見捨て、切り捨てた人間たち。
彼らを救い続けた結果、ルシアは――
神に、なってしまった。
神として世界を救うたび、嘘は増え、心は壊れていく。
正しさだけを信じる神々は、感情で動く“欠陥神”を許さない。
それでもルシアは嘘をつく。
誰かが泣かずに済むなら、神失格でも構わないから。
冷酷な正統神アウレア、
享楽的な悪魔ヴァル、
神だと知らず友達でいてくれる人間ミカ。
それぞれの想いが交錯する中、世界は「正しさ」を理由に壊れていく。
神とは何か。
救いとは誰のためのものか。
そして、嘘は本当に罪なのか。
これは、
神になってしまった悪魔が、最後まで誰かのために嘘をつき続ける物語。
世界を救ったのは、神ではない。
神になってしまった、ひとりの悪魔だった。