あらすじ
王の血を残すためだけに存在する後宮。
そこでは病も怪我も「運命」とされ、救えぬ命は静かに切り捨てられる。
山奥で薬草を採って生きていた少女は、
ある日、宮中に仕える女を助けたことをきっかけに、
「保護」という名目で後宮の下女として連れて行かれる。
少女が持っていたのは、
この時代には存在しないはずの“知識”。
病の原因を見抜き、対処法を知っていても、
道具も環境も足りない世界では、
その知識は万能ではない。
救うか、見送るか。
苦痛を与えるか、静かな死を選ぶか。
少女は決して選ばない。
ただ、すべてを説明し、選ばせる。
それが、生き延びるための学問――
生存理学だった。