あらすじ
「本来なら最も生存能力が高いはずの種だけが、真っ先に死んでいる」
日本各地で突如として発生した、野生動物の大量怪死事件。
北海道ではヒグマ、本州ではイヌワシ。
死因は不明、死体は消失。共通点はただ一つ。
被害に遭っているのが、その生態系における「頂点捕食者」だけであること。
伊吹大学の若き天才生物学者・晴嵐朔人(せいらん さくと)は、この不可解な現象に、自然界のルールではあり得ない「作為」を感じ取る。
ウイルスでも、毒物でもない。
日本の山々で今、食物連鎖の頂点に立つ最強の生物たちが、さらに上位の「何者か」によって一方的に狩られているのだ。
「既存の生態系ピラミッドの中に答えがないのなら、答えはその『外側』にあるはずだ」
調査のために紀伊半島の深山へと足を踏み入れた朔人が見たものは、生物学の常識を根底から覆す、悪夢のような進化の形跡だった。
なぜ、強き者だけが選別されるのか。
生態系を書き換えようとする者の正体とは。
進化遺伝学を武器に謎を解く若き研究者が、神の領域を侵した「科学の暴走」に挑む。