あらすじ

――女が、重巡洋艦の艦長になる時代ではなかった。

昭和十六年、帝国海軍。
戦争の影が濃くなる中、重巡洋艦「妙高」の艦長に就任したのは、新條芙乃という一人の女だった。
冷徹にして理知的、そして必要とあらば己をも沈める覚悟を持つ異端の指揮官。

彼女の前に立ちはだかるのは、敵艦隊だけではない。
女であることへの偏見、若さへの疑念、そして戦場に巣食う死の記憶。
古鷹事故、二・二六事件――幾度もの喪失を経て、芙乃は「艦と共にある」生き方を選び続けてきた。

砲術長・村瀬誠一。
副長・鳴海司。
航海長・加藤真之。

それぞれが異なる想いを胸に抱きながらも、艦橋に立つ彼女の背を支える。
信頼と抑制、友情と恋慕、そのすべてが戦場では沈黙へと変わる。

これは、英雄譚ではない。
華やかな勝利でも、栄光でもない。

沈む覚悟を抱いた者たちが、それでも艦を、仲間を、未来を守ろうとした記録。

蒼い海に鎮んでいく、断章の物語。

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アルファポリス
アルファポリス2025/12/22
  • 現在の作品蒼海ニ鎮ム 〜蒼ノ断章〜