あらすじ
王都では、毎日裁判が行われている。
だが、その理由が掲示されることはない。
異端。
秩序破壊。
思想犯。
罪に問われるのは、剣を取った者ではなく、
考えた者たちだった。
裁く者でも、救う者でもない。
名も持たぬ「先生」は、
裁判の記録官として、その場に立ち会っている。
土地は誰のものか。
身体は誰のものか。
なぜ、その罰なのか。
問いを整理し、定義を書き、
言葉を並べただけで――
世界は「不都合」になる。
これは革命の物語ではない。
暴力の物語でもない。
教育を受けた結果、
裁かれる世界の物語だ。
やがて先生自身もまた、
「記録から消される存在」になることを、
この王都だけが、まだ知らない。