あらすじ
黄昏と黎明のアストリアの外伝です。
アストリア王国西端、前線へ変わりつつある港町ステンブ。王都育ちの若い士官トールは港湾警備隊として着任し、副隊長ライサに叱られながら帳簿と報告書を作る日々を送る。
中立を装うはずの海には帝国式の商船が日に日に増え、荷役場では水夫の符術沙汰や小競り合いが起きても、王都からの通達は「穏当な記録」を要求するだけ。トールは船名簿の出港港の不自然さに気づき、商船を盾に軍船を隠す気配を嗅ぎ取るが、現場に届くのは数日遅れの机上判断。砲兵隊長や傭兵分隊長ゲイルらと備えを詰める中、ついに西境砦から越境騎兵と魔導砲の実戦、そして演習扱いでは済まない現実を告げる報が届き、港の平時は音を立てて崩れ始める。